「自分の薬をつくる」

習慣が変わる読書

今回は、読書感想文のようなものを書いてみたいです。書こうと思ったきっかけは、この本がきっかけで自分の習慣が変わろうとしているから。そういう本は多くはありません。

坂口恭平さんの「自分の薬をつくる」は、癒しでもあり、創作の一つの方法論でもあります。わたしが、特に心惹かれた部分を紹介したいと思います。

インプット過剰、アウトプット欠乏

坂口さんは、いのっちの電話という死にたい人が自由に電話をしてこられるように自分の携帯電話の番号を公開しています。1年間で2000人程かけてくるそうなので、すでに10年で2万人近くがかけてきていることになります。そういった人々の悩みの根幹にあるのが、情報のインプットが多い割にアウトプットの機会がほとんどない人々だと言います。

「インプットばかりで生活していると、体が危険を感じて、ちゃんとサインを送るということです」P38

「外からの情報を取り込みすぎて、満腹になっている。酸素が過剰にある状態で、しかもアウトプットの方法がわからない。これはつまり、死にたい、ではなく、このままいくと死んでしまうよ、という体からの警告なのではないでしょうか。」P39

「つまりあなたがアウトプットすることは自然な姿なのです。アウトプットすること、これが「つくる」ことです。つくるといってもわたしが使っていること言葉は、手元で編み物を作るとか、絵を描くとか、本を書くとか、そういうことだけではないつもりでいます。いろんなつくり方があるはずです。自分なりのアウトプットを見つけてほしい」P40

アウトプットというと、仕事で出している、と思われる方もいるはずです。しかし、わたし自身振り返ってみると、このアウトプットというのは、誰かに指示されたものではなく、自分の内側にあって蓄積したものを出していくことが必須だと思います。本来自分がやりたいかどうかわからないものを、出力し続けても、むしろモヤモヤだけが残るのではないでしょうか。

調子が悪い時というのは、実は「インプットが歪んでいる」時であり、さらには「アウトプットを全開にする」時でもあったのです。インプットが歪んでしまうのは、アウトプットモードが体になっているからだと言っても過言ではありません。なぜならその後、わたしは鬱の時に大量の原稿を書くようになったからです。自分の薬が必要だと感じているときは、つまりアウトプットするときなのです。P270

その一方で、アウトプットの方法は、これまでの教育では教わっていないので、みんな知らない、とも坂口さんは述べています。その一助となるのが、自分の日課をつくることです。

自分の日課をつくりアウトプットする

自分の日課、つまりは時間割を作ることで自分なりのアウトプットを出す時間を確保することができます。

坂口さんは、朝の4時に起きて原稿の執筆をされています。それが一番やりたいことでもあり、仕事でもあるからです。それさえ、誰にも邪魔されない早朝に終えてしまえば、後の1日の時間はゆったり過ごすことができる、といいます。

日課は、A4の用紙に手書きでパイチャートのようにされています。

確かに、それはその通りではないかと、わたし自身真似して実践して一週間。わたしの場合は、4時ではなく5時15分という中途半端な時間ですが、この絶妙な時間が起きられる要因にもなっています。この時間設定であれば、夜12時に練れば5時間は寝られるので、なんとか起きられるのです。
起きると、誰にもお願いされていないけど、自分でやってみたいことに取り組みます。この一週間は、こうしてnoteを書いています。
独身の頃とは違い、家族がいてまとまって集中できる自分でやってみたいことに当てられる時間はずっと減っています。そのことも含め、早起きの支援ツールと含めて、先週の投稿でも書いておりますので、よろしければご参照ください。

つくる時間というのは、なるべく心も体もフレッシュなタイミングでやるのが圧倒的によいということが実践してみて思いました。家族が起きてくるタイミングも、程よい締め切り効果として機能します。

必要に応じて自分に閉じこもる

自分の感覚を敏感に感じとるには、時として他者や集団から距離を取った方がいい時があります。鬱に発展しそうな危機的な状態は深刻ですが、それ以前にも、大きなストレスになり、そのことを考えてばかりいる状態も健全ではないと思います。私たちは、誰かの期待に応えようとしすぎて本当の自分の中の声を抑え込みすぎている気がします。
大人になると、比較的閉じやすくなりますよね。私は集団生活を強いられがちな子供時代の方が、閉じるのが難しくてストレスを感じることが多かったことを思い出します。特に、中学校、高校と。そんなときは文庫本を一冊持って、クラスメイトがいなさそうな芝のあるところや図書室に籠もっていました。もちろん、携帯もポケベルもまだない平和な時代でした。

まず危機的な状態になったときどうするか。
健やかな人であれば、そんな時でも平静を保って、これまでの行動を粛々と続けようとするかもしれません。そんな一つ一つの物事にアワアワしていては大人ではない、と教わってきていますから。しかし、わたしの場合はすぐ逃げ出します。ちゃんとしないといけない、と考えた瞬間に鬱になってしまうからです。

そんなわけでわたしはすぐ逃げて、一人でこもります。これも書いてきましたよね。自閉するってことです。ついつい人は、人間にとって一番大事なものは他者だ、と思い、たとえそこが居心地良くなくても近寄って行ってしまいます。自ら窮屈さのほうに行ってしまうんですよね。それをやめるだけで、むちゃくちゃ楽になりますよ。ずっと孤独でいろって言っているわけではないんです。窮屈さを感じた瞬間だけ、一時的に避難するってことです。そこで体調を整えて、また出向けばいいんです。なので、積極的に自閉しましょう!」P278

閉じ方も人それぞれかなと思います。日課をつくって朝の時間に自分だけで物事を考え、手を動かし何かをつくる。この時間も、一時的に集中して閉じていることになるようにも思えます。閉じてアウトプットする。そのアウトプットは、いずれ外に向かって開いていくかもしれない。

閉じた分だけ、アウトプットには適した時間になるはずです。そう考えると、閉じるのも悪くないですね。

まとめ

今回は、坂口恭平さんの「自分の薬をつくる」の読書感想文として、特に共鳴した3点を中心に記してみました。

日々、自分の中に流入してくる情報(インプット)を定期的に排出(アウトプット)していかないことが、いかに不健康であるかを強烈に実感し、自分自身が危機感を持ちました。

また、その危機感のおかげで自分自身の日課ができて行動が変えることができました。いやまだ一週間でそう言い切るの早いかもしれません。おそらく、自分に適した日課は一発では決まらないと思いますので、少しずつ調整して続けてみたいと思います。

本書は、これからの自分のインプット、アウトプットを変えるきっかけをくれた良書でした。