2010年上海の路上では生き物のにおいがしていた


2009〜11年まで上海に転勤し、現地法人に勤務していた。

その頃、盗まれても根気強く自転車に乗り続け、住まいのあった江苏路近辺から1時間くらいの範囲はよく行き来したものだった。タクシーの値段は、東京とは比べ物にならないほど安く(当時初乗り12元とか)、駐在で現地に住まう人々は車での移動が多かったように思う。

しかし、自転車や歩くことで得られるその土地の面白さは格別だ。2010年頃の上海には、すでに大型スーパーが多く出店しており、昔ながらの市場と併存していた。また、この写真のような道路沿いが商店街のようになっている通りもあって興味深い。鶏や魚が生きたまま売られており、注文するとその場でさばいてくれたり、生きたまま持ち帰る。当然、生き物のなまぐさい臭いがしてくる。

この道のように、固定の商店街の場合もあるし、朝の通勤時間に突然道路に現れる個人商店もあった。信号待ち中に足元で魚や鳥をさばいているのにはさすがに閉口した。

一度、両親が上海を訪れたときに、観光地とともに市民の暮らしがよく分かる路地裏の町も一緒に歩いた。その時の感想として、子供時代を思い出すということがあったので1950〜60年代の日本の風景と重なっただろう。

この当時は、まだ電子決済もなくて現金をその場でやり取りして100元札など出そうものなら嫌な顔をされたものだ。きれいに整備された外資系スーパーで買うのも気分踊りうれしいものだったが、こうした路上マーケットで買い物をするのもまた面白い。もちろん、ぼくは鳥を買ったことはなく、せいぜいフルーツや野菜くらいであったが。

この場所が具体的にどこだったのか。今では思い出せないが、地下鉄江苏路から中山公園の周辺あるいはもう少し北側の虹口へ続く道のどこかだったかもしれない。2019年の今、まだあるだろうか。

関連リンク:Shanghai street