今回は、2020年9月からはじめた菜園について気がついたことを書いてみたいと思います。
協生農法とは?
ここ数年、関心を持っている協生農法と言う取り組みについて、改めて考える機会があったからです。協生農法は、ソニーコンピューターサイエンス研究所の船橋さんが構想・実践されている農法で以下の記事から説明を引用すると、一般的な農業の方法論とは随分違うアプローチをしていることがわかります。
土地を耕さずに無肥料・無農薬で、100種類以上の野菜や果樹を混生・密生させて栽培する「協生農法」。植物のポテンシャルを最大限に引き出しながら、生態系自体を作り上げるという協生農法
仕事で船橋さんにインタビューに伺った2018年から、気になっていろんなところで話題になっているのを目にするようになりました。自分が関わっているクライアントワークでも、多様な生き物が共鳴しあって生きていくたくましく、持続的な環境づくりの事例として話題になることもあります。
協生を促す子どもと退行させる大人の思考
そして、今月、我が家で購読している「母の友」2020年12月号に、その話題が家庭菜園がらみで引用されていた。
独立数学者の森田真生さんの菜園で息子さんとのやりとりが下記のように記されていました。
トマトのそばには、彼が育てている猫じゃらしがある。息子が何日か前に、近くでとってきてそこに植えたものだ。僕は本当はそこに、別の野菜を植えたかったのだが、トマトと同じようにこれを大事に育てている息子を見て、役に立つ(食べられる)植物とそうでない植物に分け、役に立つ植物の成長だけをほとんど無意識のうちに追求していた自分に気づいた。(「母の友」2020年12月号より)
これは我が家でも似たことが起きています。どんぐり大好き3歳の息子は、山で拾ってきたどんぐりの実を庭に撒いています。芽が出てくるかなと楽しそう。
僕はと言うと、テキストで学んだ菜園づくりの基本に則って、肥沃な土を整備して種を植えたり、雑草を取ったり、しっかり食べられる野菜が育つ環境を整えている。毒きのこが生えてきたら、抜いている。協生農法とは逆をやっているのが今の自分です。
絶妙な均衡が協生をうむ
ソニーコンピューターサイエンス研究所の船橋真俊さんは、この難問に対して、食糧生産のために生態系そのものを構築していこうとする「協生農法」という独自の農法を研究・実践している。
これは、野菜や果樹、ハーブ、山菜などの多種多様な植物を混生・密集させて栽培する型破りな農法で、アフリカのブルキナファソの砂漠化した土地が、この農法によって一年でジャングルに生まれ変わるなど、驚くべき成果も出てきている。(「母の友」2020年12月号より)
協生農法では、土に肥料を与えたり、品種を均一に管理したりしないといいます。効率よくすることを目指した結果、今の農業のやり方が一般化していると思いますが、実は土や地球にとっては負担を与える結果になっていることにはなかなか気がつけません。そもそも、農薬を使わなければ土壌や水質汚染にも影響を与えることはない、と考えていましたが、化学肥料自体も影響があるのですね。
先日、(ソニーコンピューターサイエンス研究所の)船橋さんと出会い、対話する機会があった。何より僕が感動したのは、「人間がいることで、人間がいないよりも豊かな生態系を作れる」という、彼の目が覚めるようなビジョンだった。(「母の友」2020年12月号より)
ある仕事で、この船橋さんの考えを記した論文を購読する機会がありました。人間がいることで、人間がいないよりも豊かな生態系を作れることを確か「拡張生態系」と書かれていたと記憶しています。
そして、振り返って我が家の菜園はと言うと、この写真のように二列にきちんと植えて発芽してきたほうれん草を眺めて喜んでいる自分がいます。まずはこれで楽しくて美しい。1サイクル菜園で収穫したら、船橋さんや森田さんが書かれているような多様性を意識した菜園にも取り組んでみたいと思います。その前に、放置することで自ずと協生農法にならないようにもしたいものです。
まとめ
僕は雑草も美しいと思っています。そもそも雑草にも全部名前があるわけですし。つい最近まで花を咲かせ、虫たちが集っている草花の群生を残していました。ついに植樹すると言うことと、花が終わったので刈り取ってしまいましたが。雑草も自然の一部として共生(協生)することが本来は最適なのかもしれません。雑草が適度にうわっていた方が、地表が柔らかくなると言う記事もあります。
今回は、協生農法から考えた我が家の菜園について考えてみました。何年もかかるかもしれませんが、協生農法の発想に近い環境を庭にの作れたら嬉しいです。まずは、あまり理想論や既成の方法論に縛られず、しっくりくるやり方を何年もかけて実験してみたいと思います。