自営業の資金計画
今回は少し理想の住まいを求めるにあたり、資金計画についても触れておきたいです。世の中にローンまわりのお話はたくさんあると思いますが、夫婦揃って自営業(会社経営+フリーランス)で更に注文住宅を建てるケースは、全体から見たら少数だと思います。そのため、いくつか壁とも言える場面があり、もし同様の方がいたら参考になるかもと思いましたので記したいです。
契約日から全てははじまる
2019年8月2日に手付金(100万円)を支払い土地を正式に契約することになりました。この先は、住宅ローンの承認を9月7日までに取得する必要があります。もし、それができないと契約は白紙に戻ります。
ここで重要なのは、住宅ローン特約があること。これさえあれば、仮に住宅ローンが借りられないとわかっても違約金を免除されます。よほどの悪徳業者でなければ、はじめから付いているとは思いますが、念のために確認はした方がよいポイントです。
私たちは夫婦揃って、逗子にある純粋リアル・エステートさんで契約を行いました。これから歳をとるまで住み続け、ローンを支払っていく長期プロジェクトとして思いを同じにするため、必ず夫婦で行った方がいいイベントだと思いました。
会社経営+自営業夫婦が借りられるローンはどこか
事前に私たちの状況ですが、夫・会社経営(フリーランス法人的な合同会社、当時設立4年目)、妻・フリーランスフォトグラファ、大学非常勤講師という状況です。どちらも銀行からすると、住宅ローンを貸すにはリスクの高いステータスであることは明らかです。
そこで、職業による審査が比較的甘いフラット35しかないとはじめから考えていました。もともと、利率固定型のローンしか関心がなかったこともあり、それを選ぶのであれば銀行ローンと遜色はないと思います。(ただし、売り主にはフラット35は仮審査の精度が甘く、本審査落ちする確率がそこそこあるため、避けてほしいという要望あります。私たちもそのようでしたが、なんとか説得してもらうことができました。今回自分たちもやってみて、そのリスクがわかりました)
その中でも、特に諸経費が安く住むARUHI、楽天銀行をリサーチしていました。私たちがはじめから少し複雑なプロセスになるだろうなと考えていたのは、注文住宅のため、途中、土地の価格2000万円台後半、工務店に700万円近く2回に分けて支払う必要があったことです。なかなかのまとまった金額のため、当然のことながらつなぎ融資が必要になります。
フラット35は銀行のローンとは違い、建物が完成して検査が終わってから融資が降りるため、それまでは別途つなぎ的なお金が必要なのです。(ちなみにみずほ銀行で借りられれば、分割融資があるためつなぎ融資が必要ないそうです。つなぎ融資は利率が2.7%と高いのでできれば借りたくないのです)
楽天とARUHIは、どちらもつなぎ融資を提供しています。ただ、調べていくと、楽天銀行の方がつなぎ融資の利率が低いことがわかりました。また、諸経費も楽天銀行の方が安いです。実際、ARUHIはインターネット申し込み以外では諸経費が銀行なみで楽天よりは1%ほど割だかです。(たかが1%でも40〜50万円くらい違ってくる。住宅ローンは諸経費まで含めたスプレッドシートを作って全体比較をしないとどこが安いか高いか部分を見てもわかりません)
ということで、楽天銀行でフラット35を申し込むことにしました。普段、細かい書類の記載はミスが多い私ですので、念には念を入れて書類を何度もチェックして書類をかきあげ必要な公文書を集めました。
ちなみに、楽天銀行から提供された必要書類のチェックリストだけでA3裏表分あります。なかなかの分量です。それでも、何度もチェックしたこともあり、なんと一発でミスなく受領されました。
提出から7日ほどで審査結果が出て、無事に融資が認められることになりました。(フラット35ではこの状態を「仮承認」といいます。家が建ち検査が住むと「承認」になります)
まさかのつなぎ融資NG
9月7日までに楽天銀行からフラット35の承認をもらってくださいね、と契約書には書かれているため、8月末までに承認がとれていくらかホッとしました。そのまま9月7日を経過すれば、ローン特約は解除され、次は、土地の引き渡し日が10月7日に設定されています。引渡し日に、残金をすべて支払い、所有権の移転登記も行われます。
ですので、そこまでに土地費用と仲介手数料などが一括で必要なわけです。
ということで、楽天銀行のつなぎ融資の手続きをしなければと思い、必要書類のリストを確認していきました。
そこで、ふと一つの項目が気になりました。建築確認申請書とあります。
不動産会社に確認してみると、建築確認申請書は通常着工前に仕上げて役所に提出するもので、土地取得直後にはまだないものであるし、設計の議論もまだこれからはじまるところでした。今のタイミングでは不可能とのこと。
楽天銀行側に問い合わせると、どうしても必要とのこと。ただ、この書類が必要になったのは2019年5月からだそうで、事情としては注文住宅がつなぎ融資の制限期間内に完成しないケースが多発したからとのことでした。なるほど皆さん、こだわりの家はプランをじっくり煮詰めて建てたいのかな、あるいは建設ラッシュで工期が延びているのかもしれません(つなぎ融資の期限は12ヶ月)
これは困ったことになったぞ、と思いました。もしつなぎ融資が借りられなくなれば、契約自体を解除せねばならず違約金を支払うことになります。その額、280万円とのこと。なんという無駄!絶対なんとかしないといけません。
このとき心のなかでは、あー面倒なことに、大企業の社員を続けていればこんな面倒なことにならずにすんだのかもしれないかもなあ・・・・と呟いていました。
そして楽天銀行のフラット35にもっと早くそのアラートを欲しかったと思いました。その条件で、注文住宅を建てるのは不可能だという感想を持ちました。だって、土地を契約するタイミングで家の設計が終わるわけないのだから・・・。(2019年9月の状況なので、その後、変更もあったかもしれません。これからの方は事前に確認してみてくださいね)
引渡し日に向けて走る
さっそく別の手を探さないといけませんが、ほとんどの銀行は自分のところで住宅ローンを組んでくれた顧客にのみ、つなぎ融資を提供しています。
選択肢が他になければ、ARUHIで1から審査をやりなおしかなあ。。。とおもいはじめました。
不動産会社の担当者は、「一度審査が通っていますので大丈夫ですよ!」と励ましてくれていましたが、ARUHIは利率も高いし、そもそも諸経費が50万円ほど高くなるのでできたら避けたいと思っていました。
2日ほど集中的にリサーチをしました。つなぎ融資だけを提供している会社はほとんど一社だけではないでしょうか。
それは、アプラスのブリッジローンです。アプラスは、利率も楽天銀行なみでしかも新生銀行グループなので安心感もあります。
こちらを9月中旬に申し込み、10月7日にぎりぎりのタイニングでなんとか土地の決済に臨むことができました。アプラスのつなぎ融資の審査にも一週間ほどかかりましたが、もしここでだめだったら、もう土地の引渡し日に融資が間に合わないYo!と本気で焦りました。
契約書にかかれていたこの日付を超えてしまうとどうなってしまったのだろうか、、、と思い、純粋さんの担当者に質問したところ、「引渡し日が決まっていることで、みんながそこに向かって動くことができるんです」と一言。この前向きさが、純粋リアルエステートさんのいいところだなあと心から思いました。
土地の引渡し日は、不動産会社、司法書士、売り主、買い主が集まります。楽天銀行やアプラスのようにネット専業の場合は、カフェなどのパブリックスペースで行い、決済も銀行の普通の窓口で行います。私たちは品川駅の少し落ち着いたカフェで行いました。銀行の住宅ローンであれば半個室など特別な空間で事務処理と振り込みが行われると思いますが、ネット専業銀行はそこはさらりと終わります。
不動産の契約や引き渡しとなると、背広を着たおじさんたちによる堅苦しい場になるのかなと想像していましたが、そもそも不動産の純粋さんはおしゃれでまるでアーティスト、司法書士さんはしらゆきリーガルフロンティアから明るく朗らかな女性、売り主さんも朗らかな男性で、柔らかな場でした。
この日も妻と一緒に臨み、一つの区切りがついたなと感じました。ほんとうに、それまではスプレッドシートとのにらめっこや書類の準備、審査結果を待ったりと、焦りもありましたが、かなり精神的には開放されました。
でも、きっと先々よい思い出になるでしょう。手元には土地に自分の名前が入った登記簿があります。(抵当権はまだ銀行ですけれど)
これからいよいよ建てものや菜園など庭部分の設計に邁進していくフェーズに入ります。ここからがまさに醍醐味ですが、今回はそこにいたるまでに避けては通れない資金計画について経験談を書かせていただきました。
PS
住宅ローンに関する本も読んだり、複数のFPに相談して自営業は35年ローンを組むことができるのか、組むべきなのかという観点でもかなり考えたり、シミュレーションをしました。この経緯はまた長くなるので別のときに。