時間の感覚と猫

猫の生活リズムは、人間が決めた時計に縛られず季節の変化と同期しているのではないかと気がついたのは、今の家に引っ越してからだ。

猫は、相変わらず朝は早起きだが二度寝をして暖をとる。昼ごはんは、11時と決めているが、僕が机に向かっていると、冬は少し早く10時過ぎに催促にやってくる。その後、太陽が出ていれば、陽の光を追いかけるように寝場所を変えて、寝たり外を観察している。

春や夏場は、四時過ぎの、人間には少し早いと思える夜ご飯を冬には3時半ごろを希望する。(だが、その後2回ほど追加で夜に食べに来る)日が暮れるのが早く気温の変化に敏感で、その分早く寝ているからのようだ。本来猫は夜行性だろうが、夜に狩をする必要がない家猫は、寒い冬の夜は早めに寝るので生活が前倒しになっているのでは、と解釈している。

しかし、よく食べる。この食欲を無視しようものなら、家中の棚に飾られている本や食器などが床に落とされる。ほんとうは、この行動に反応しては逆効果なのだが、大切なものを壊されても困るのでやっぱりどこかで反応せざるを得ない。「まだ時間ではないよ」と何度も言ってきた。

そんなある日、実は時間により正確なのは猫なのではないかと思うようになった。標準時間ではない、日照や気温や湿度、音などの全身の感覚を駆使した時間感覚を猫は持っているのだ。多分、人間も同じような時間の感覚を時計が特別だった時代には持っていたのではないかと思う。そう思うと、猫は偉いなあ。同時に、うちの子も時計や文字をまだあまりわからないので、特別な感覚で世界を感じていると思うと、急に尊い能力をもつ存在のように思えてしまうから不思議だ。

PS:今読んでいる「神々の沈黙」という本には、文字を持つことで人は神の声が聞こえなくなった、とあり、なるほどと思ったところです。