掘り起こす

僕は、2009年から2014年まで約6年間、会社員として留学生として国内外を散策し続けるという、30代にして旅人のような生活を送っていた。

その間、上海、ロンドン、インド、スリランカに比較的長く滞在していた。

その間、たくさんの写真を撮っておりハードディスクには多くの写真が蓄積されていて、帰国して数年が経ち改めて見返すと新鮮だったりする。

そんなこともあって現在の日々の観察を続ける傍ら、少し過去について見返す時間を取ろうかと思っている。

この一枚は、2011年冬に訪れたポーランド・クラクフにある旧市街。

この町を訪れた理由は、アウシュビッツを一度は訪問しておきたくて最寄りの都市だったから。僕にとっては、負の記憶の場所へと繋がる町ではあったが、この古都はそんな気持ちを一旦は忘れさせてくれるコンパクトで美しい魅力がある。

北側に城壁の名残とフロリアンスカ門がある。中央に広場があり、なんとも奥ゆかしい魅力的な町であった。

歩きで日常生活が送れる町の規模は素敵だなと常々思ってきたが、この旧市街地はまさにそんな所。たとえれば、ドラクエに出てくる町のイメージ。町の規模というのは、いくつか実際に訪問して住んでみたりするとしっくりくるかわかると思うが、ここは素敵だなと直感した。

かつて城壁で囲われた内側は、整備された町が広場を中心に広がるが、その側はたいそう違った都市の様相で車でなければ移動は困難。これは後に訪れたワルシャワの旧市街地も同様であった。

このころは、一人旅であったが途中NHKのディレクターと知り合い食事をしながら話したのを覚えている。

機会があれば、もう一度家族で訪れて日が暮れてランプが灯る街角で食事したり散歩したりしたいものだ。パリやロンドンの市街地とは、ちょっと違ったローカルで少し閉じた空間の美がここにはあったと記憶している。

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