長柄の平坦地に見つけた土地のその後の話です。
土地なのか建物なのか、譲れないのはどちらか
7月上旬に無印良品の家に一度その土地でプランを作ってもらいました。
敷地は借景が期待できるため、無印の家の窓の大きさが活かされたすてきなプランでした。一方で、予算面で今の段階で結構なオーバー(500万円以上)。このまますすめるには、土地をもっとずっと安いところで探すしかなさそうです。ちなみに、無印良品の家は価格表でサイズ別に値段が明記されていますが、実際は扉をつけたり水回りを2Fにするなどで基本建物価格が1〜2割は変動します。
ここで最初の判断がやってきました。
1.建物にこだわって費用をかけ、土地より安く買うため駅からバスで20分以上でバス停から徒歩15分ほどの坂の上にする。
2.無印良品の家を含めハウスメーカーで建てるのを止めて、費用に合わせて希望を調整しやすい設計士と工務店を探す。
1について考えましたが、土地はフィーリングが大事だと思うようになりました。それとともに、頭のどこかに、建物の価値と比べて土地の価値というのは比較的不変だろうな、ということもありました。建物は変えられるけど、土地は無理です。
2については、ちょうど不動産の担当さんが、予算の範囲で設計士をつけて自由に設計できる金額で、広さや素材の吟味で実現していくことも十分可能ではないか、という提案をくれました。建物と土地、正直どちらも譲れません。しかし、一歩引いて考えると、無印良品の家だけがすべてではなかったはずだということに今更ながらに気が付きました。
そのとき不動産担当のHさんに、一番大切なのはご家族がその土地でどんな暮らしをしているかを想像し感じられることです、と助言をもらいました。もし、そこで暮らしが想像できて心地よい気持ちになれるなら、それを実現する代替案を模索してみるのもよいと思いますよ、と。妻も、比較対象がない状態では判断ができないので、選択肢を増やしてみるのはいいことではないかとの意見でした。
実現に向けて前向きに進めるられるか
私にはそのとき、どうしてもこの設計士や施工会社でなければ嫌だというこだわりはありませんでした。そのようなとてもオープンな状況だったこともあり、お知り合いでおすすめの方がみえるかを尋ねてみることにしました。そして、葉山、逗子、鎌倉で複数の注文住宅を手がけられている若手設計士と地場の施工会社を紹介してもらうことができました。
ポートフォリオともいえる、雑誌「湘南ライフ」やWEBに掲載されたものを拝見したり、事前に実際のお宅を見たりする中で、すっかり気に入りました。
まだお願いするかどうか決めていない、初回の面会時にも、事前に私たち家族のことをリサーチして仮案を持参いただきました。それが、土地の特徴を十分に活かした可能性を感じるすてきなものでした。
私は慎重で本来であればスプレッドシートに複数の設計士や施工業者のリストを作って、様々な点で比較検討すべきかなとも思いました。一方で、友人が設計を依頼している「家を建てたくなったら」の著者丹羽修さんは著作の中で、一番大切なことは過度なスペックや価格の比較より、コミュニケーションと信頼だと書かれています。
そのような意味では、お会いしたり、仕事を拝見してみて、紹介いただいた設計士と施工会社にお願いしていいのではないかと、自分の判断を信じられるようになりました。
穿った見方をすれば、土地を売る担当者が、まずその土地を選んだ方がいい、というのは当たり前の流れです。しかし、私は、そこに自分たち一家の暮らしの一歩が構築されていく物語が垣間見えました。
そういえば、社会派ブロガーちきりんがリノベの経験をまとめた著作の中で、建築業者選びはプロジェクトパートナーを選ぶ心づもりで、と書いています。私もそのとおりだと思います。
実際に、土地を買って、家を建てて、そして暮らしはじめてとなると、必ずうまく行かなかったり、悩ましい点がでてくるでしょう。そのときに、プロジェクトメンバーとして共に考え解決していける関係を築けそうか、そこはとても大切だと思います。その意味で、不動産担当者、設計士、施工会社とその可能性をこの時点では感じることができました。
なんとなく、私たち家族のスタイルを考えていくと注文住宅になるような気もしていましたが、本当にそうなろうとしています。
決めないと進まない、決まりさえすれば進んでいく
そして、そろそろ長柄の土地を購入するのかどうかの意思決定が迫っています。設計士からもらった最初のプランを眺めながら妻といい感じだねー、申し込み入れる?という会話を一週間ほどしました。そんなある夜、「あの長柄の土地を現金で購入したいという方が現れたようです」と突然電話がかかってきました。
よく聞く話で、不動産業者というのは顧客にプッシュするために、他のお客さんもちょうど検討されていて、というものがあります。
そうなると、焦って意思決定を急いでしまうものです。実際、私が無印の家の施工事例のお宅訪問の際も、最初に見つけた土地を検討していたらその翌週にはもう売れてなくなってしまっていて、とオーナーの方に伺いました。
実際、私が葉山町一色で見つけた土地も、妻に相談している一週間の間に無くなりました。「我々も急かしたくはないので、建築物のプランも含めてじっくり検討してもらうのがよいと思うのですが、実際問題、よい土地ほど無くなってしまうものです」と言われていたのでした。
いずれにせよ、理想の住まいを妄想しはじめて3年。逗子への引っ越しを検討してから1年、その後葉山へと関心が移って3ヶ月。やってみたいなあ、だけでは未来はなんにも変わりません。そろそろ決めなければ、というタイミングがやってきたのでした。
ところで、見積もりを作成していただいた無印良品の家のご担当の方はとても親切で、そしてお願いはしませんでしたが私たちの住まいづくりを応援してくださるコメントをくださいました。改めてありがとうございました。
続きは次回。