檜原村「わたしの木が森になる」プロジェクトと森の道

東京都檜原村に「わたしの木が森になる」をめざした東京美林倶楽部という取り組みがあります。

会員になると花粉の少ないスギやヒノキの苗を三本植えることができます。30年かけて、それらの苗が木に育って東京の森を育てようというプロジェクトです。

友人家族が4年前に4歳と1歳の子供と一緒に植えた木々がありました。すっかり人間の大人の背丈ほどに成長しているものもあり、いまだ小さいものもあり、成長もそれぞれであるのが人とも重なって見えました。少なくとも30年はかかる木の成長、そしてそれを檜原の場でときどき再会するという経験は、忙しない日々の時間軸を一度緩めてくれます。

その後、湯久保というより標高の高い地域にもお邪魔しました。

住んでいる子たちの話だとおおよそ10世帯ほどが暮らしており、公民館や露天風呂など、セルフビルドで建てられていて趣と街にはない贅沢さを感じました。菜園ではじゃがいも、こんにゃく、大豆が特色ある野菜だそうですがその他もよくできるそうです。

とても静かで、耳をすますと風の音が心地よく聞こえます。

そして、山の中に走っている大人がちょうど一人あるけるほどの森の道が素敵で、歩きながら子どもたちに、ここは不思議な巨木、こちらは穴があいていて不思議のアリスの木など、ヤギの家、猿のうんちに気をつけてなど教えてもらいながら歩きました。

聞くところでは、檜原小学校は1クラスで10名前後とのこと。都心からの移住者の比率も高く、広々としたスペースのあるところで、個性的な家族と地域の人々と一緒に過ごす時間は、想像力を大いに育てるのだろうなという実感をお住いの方々と話をして思いました。

古いお堂や庚申塚、猿や山羊、鶏、犬、猫、野鳥たちとの接点が日常であることも、言葉でないところで感じられる機会が都会に比べ圧倒的に多いでしょうね。ヤギや鶏たちも、人と信頼関係があることをその距離間から知ることができます。

僕は愛知の郡部にある濃尾平野の出身です。田舎といえども山や海の近くではなかったので、都市生活を20年程度続けた結果、いまは山、海のどちらかに近い田舎暮らしがしてみたいと考えています。

ゆっくりいいところを探していきたいものです。

現地で、すてきな冊子をいただきました。「はけとせど」という題名です。「太陽をひとりじめできるのよ。街に出掛けるなんてもったいないわ。」(P12)。まさにそんな場所だと思います。

PS:ほぼ日で3年前に特集されていました。/「林業、今日と30年後がつながる仕事」東京チェンソーズ。- ほぼ日刊イトイ新聞