五反田の大崎橋から大崎方面を望む。自宅のある旧中原街道を北へ15分も進むと到着。
僕は2008年の暮までこの橋を通って自転車で通勤したものだった。当時は、大崎方面にあれほどたくさんのタワーマンションはなかったのではないかと記憶している。
一度この地区を離れ、ロンドンや上海、アーメダバードの古くて低層の町並みの中で暮らすと東京の古き良き記憶を探してしまう。そういう視点が生まれる。
五反田周辺の目黒川はいくらかのいかがわしさを残した町だった。確か、2008年ごろまで昭和初期の佇まいを残すソープランドの建物があった。すでになく、ガラス張りのモダンなビルに建て替わっている。幸い、この反対側の五反田大橋側にあるそこだけ時が止まってしまったかのように存在している大正時代の建築物という旅館海喜館は2016年現在まだ健在で、美しい桜を咲かせている。
毎日通っているときに背景として存在していた建物を写真に残しておけばよかったと思うのも今だからで、当時はそんなこと思いもしなかった。
路上観察の視点は、他に美しいものを見て、はて母国はと改めて見ることで生まれるのかもしれない。