星薬科大学正門と知の佇まい、そして道路拡張問題

ここは知の最高学府であるという雰囲気をまとったキャンパスを持つ大学は、実はそんなに多くはないのではないかと思ったりする。昨今は、立地を最大に活かすために都心ではビル型キャンパスも増え、先人からの専門分野の知の履歴が積みあげを感じにくい。そう思うのは、学問は先人の成果に一つ一つ丹念に新たな発見を積み上げていくことが大事に思えるからである。

そういう意味で品川区荏原地区にある星薬科大学のキャンパスは、大変趣がある。正門の銀杏並木を直進すると、歴史を刻む門柱、左手には時計台、正面に創業者である星一さん(ショートショートの星新一の父)、その背景にそびえるのは、大正期にかの有名な建築家レーモンドの建築物で建てられ戦火を耐えた本館がある。

薬科大学なので、マンモス大学のような活気は外側からだと感じられないが、その専門性を感じるダクトが張り巡らされた研究実験棟や白衣の学生たちが朝から熱心に学んでいるようだ。

僕たち家族は、キャンパスの周囲をよく散歩する。勝手に呼んでいる薬学の道をはじめとして、木々が多くて春は桜、夏は新緑、秋は紅葉が楽しめる。

しかし、そんな薬科大にも道路拡張によるキャンパス分断の話があるようで、2017年ごろから問題になっている。徐々にこの周辺も空き地が増えてきて、道路計画が進んでいるように見える。薬科大の落ち着いた雰囲気を損なわずに道路を拡張することは地下にでもしなければまず無理だろう。

2017年ごろに署名活動をしていたようだが、残念ながらその当時僕は、その活動を知らなかった。その後、どのような決着があったのだろうか。そのことについて大学のWEBが次のような記事を続報として掲載している。

正門前からの落ち着いた佇まいを見られるのももしかしたら後数年かと思うと残念でならない。地域住民として安らぎの環境がなくなるのはまだしも、学生や研究者にとってキャンパス内を車がどんどん走る環境は、集中して研究するには向かずその損失は大きいはずだ。