インドのよろず屋

2014年の4〜10月まで滞在したインド・グジャラート州にある小さなよろず屋。1977年生まれの僕は、日本でも幼少期にこういった店でよく買い物をした記憶が残っている。コンビニが普及しはじめたのが1983年なので、それ以前はむしろよろず屋のような店舗形態が一般的だったはず。

NIDという大学院のキャンパスから徒歩で2キロ。構内にほとんど何も売っていないことから、生活者にとっては生命線の小さなショッピング街だった(Infocityという)。日本の2キロなら、まあ歩けるかという感じだが、インドは気温が真夏で40度以上が毎日で、歩道が未整備で野良犬もたくさん、おまけに通りかかりの人々にジロジロ見られるということで難儀して行ったものだった。

オートと言われる小型タクシーは、毎回値段の交渉がとても面倒くさいが往復で300〜400円くだいだったような記憶が。比較的裕福だと思われるNIDの学生や教員価格でインドにしたら安くない。

よろず屋では、牛乳からビスケット、洗剤までいろんなものを買った。店内は薄暗く、蛍光灯の光が青白く機能的に照らしている。

店番のおばちゃんは、品物を持っていくと電卓で一つ一つ計算をはじめる。これがまた結構時間がかかる。そして細かなお釣りは当然のごとくないので、周りにおいてあるチョコやらアメで支払われる。そんな適当で回る世界だ。さすがに、高額のお釣りがあるときは、周りの店を回ってお釣りをかき集めてくれる。ありがたいが、大変時間がかかる。でも、僕が記憶している昭和50〜60年頃だってまだPOSなんてなくて、十円そこらの不足ならならアメで、とかそんなゆるいやり取りがあった。だから妙に懐かしい。

あれから約4年たって支払いの方法はおそらくキャッシュレスが進んでいると考えられる。インドでは、Paytmが2016年の高額紙幣廃止の政策に伴って一気に普及した。2017年時点で電子決済の取引数は210億件だそうだ。おそらく今でも、おばちゃんが電卓で計算して、最後の支払いだけ電子決済とかなんだろうなあ。

帰国間際にようやく声をかけて、店番のおばちゃんに一枚撮らせてもらった。そして4年以上たって思い出したように見返しただった。